少年野球の新ルール|2027年の投手・捕手の兼任禁止とバット規制
こんにちは。東京都板橋区で活動している小学生の軟式野球チーム、長後ベアーズです。
少年野球のルールは、ここ数年で立て続けに変わっています。そして2027年シーズンから、また大きな変更が入ります。同じ試合の中で、ピッチャーとキャッチャーを兼ねることができなくなるというものです。
あわせて、バットの規制も段階的に進んでいます。こちらについては、「複合バットが禁止になる」と受け取られていることが多いのですが、実際の規定は少し違います。誤解したまま買い替えると、必要のない出費になりかねません。
この記事では、決まったことと、決まっていないことを分けて整理しました。出典も添えてありますので、気になる箇所はご自身でも確かめてみてください。
- 2027年から始まる投手と捕手の兼任禁止の中身
- 兼任が禁止される理由と、認められる例外
- バット規制の正確な対象と、複合バットの扱い
- 保護者が今やるべきことと、やらなくていいこと
この記事の情報について
2026年9月時点で公表されている内容をまとめています。運用の細部は今後の通知で変わる可能性がありますし、大会ごとのローカルルールが適用される場合もあります。実際の運用は、所属するチームや参加する大会の要項で必ずご確認ください。公式情報は全日本軟式野球連盟の連盟適用ルールのページで公開されています。
2027年から投手と捕手の兼任ができなくなる
まず、確定している内容から。
いつ、どう決まったのか
全日本軟式野球連盟が2026年1月23日付で各都道府県支部へ通知し、2月3日に公表しました。2027年シーズンから、学童部で同一試合内の投手と捕手の兼任が全面的に禁止されます。
この改正は、2026年から始まった1週間の投球数制限に続くもので、同じ流れの上にあります。
出典:学童野球で同一試合の投手・捕手兼任禁止へ 肩肘への負担を考慮…2027年から(Full-Count)
具体的に何ができなくなるのか
投手または捕手として試合に出た選手は、その試合の中で、もう一方のポジションに移ることができません。
これまでは、先発したピッチャーが球数制限で降板したあと、キャッチャーに回るという起用がよく見られました。人数の少ないチームほど、この形に頼ってきたはずです。それができなくなります。
認められる例外もあります
「投手をやったら、もう守備に就けない」という話ではありません。ここは誤解されやすいので、はっきりさせておきます。
2027年からの兼任ルール
できないこと:同じ試合の中で、投手→捕手、または捕手→投手とポジションを入れ替わること。
できること:投手や捕手を務めた選手が、他の守備位置に就くこと。また、一度退いたあとに元のポジションへ戻ること(投手なら投手、捕手なら捕手)。
つまり、降板したピッチャーがファーストや外野に回るのは問題ありません。禁止されるのは、投手と捕手という2つのポジションを行き来することだけです。
新ルールを踏まえて守備の役割を考える際は、少年野球のポジションの決め方と希望の伝え方も参考にしてください。
なぜ兼任が禁止されるのか
理由を知っておくと、納得しやすくなると思います。
捕手の送球は、投球より肘に負担がかかる
意外に思われるかもしれませんが、根拠になっているのは計測データです。
パルススローという機器を使った測定で、捕手が二塁へ送球するときの肘への負荷は、投手のピッチングの2倍近いという結果が出ています。盗塁を刺そうとする全力送球は、しゃがんだ姿勢から上半身だけで投げる動作になるため、肘にかかる力が大きくなるわけです。
成長途中の小学生が、ピッチャーで球数を投げたあとにキャッチャーで全力送球を繰り返す。その積み重ねが障害につながる、という判断です。
出典:学童野球で「投手・捕手兼任禁止」導入のワケ 現場は嘆きも…盗塁阻止に潜む“大問題”(ファーストピッチ)
これまでの改正と同じ方向を向いている
学童野球のルール改正は、ここ数年ずっと同じ方向に動いています。
| 時期 | 内容 | 守ろうとしているもの |
|---|---|---|
| 従来から | 変化球の禁止 | 成長期の肘・肩の関節 |
| 2020年ごろ〜 | 1日の投球数制限 | 1試合での投げすぎ |
| 2026年〜 | 1週間の投球数制限を追加 | 週末の連投 |
| 2027年〜 | 投手と捕手の兼任禁止 | 試合全体での肘の総負荷 |
ひとつずつ見ると個別の変更ですが、並べると意図がはっきりします。子どもの肘と肩を、大人が守る。そこに一貫しています。
◆長後ベアーズからのひとこと
昔は、肩が強い子がピッチャーとキャッチャーを両方こなすのが当たり前でした。頼りになる子ほど負担が集中した、とも言えます。その子が中学で投げられなくなる例を、野球界は何度も見てきました。今の改正は、その反省の積み重ねだと受け止めています。
現場では何が起きると見られているか
いいことばかりではありません。懸念も出ています。
盗塁が止まらなくなるかもしれない
いちばん指摘されているのが、キャッチャー経験の浅い子が増えることによる、盗塁阻止の難しさです。
もともと学童野球は塁間が23メートルと短く、盗塁が成功しやすい競技です。そこへ経験の浅いキャッチャーが入れば、走られ放題になりかねません。
前出の記事では、医師から「せっかく新しいキャッチャーが増えても、盗塁されるばかりでは、野球が楽しくなくなってしまいます」という指摘が出ており、盗塁の制限やパスボールでの進塁禁止をあわせて検討してはどうか、という提案もされています。
また、人数の少ないチームからは「選手数を考えると現実的に厳しい」という声も上がっています。これは正直なところ、私たちも理解できる悩みです。
それでも前向きに捉えられる面
一方で、見方を変えればこうも言えます。これまでキャッチャーをやる機会がなかった子に、順番が回ってくる。
球数制限が導入されたときも同じことが起きました。一人のエースに頼れなくなったぶん、投げる子が増えた。結果として、経験を積む子の数が増えています。
キャッチャーは、試合全体を見渡す必要があるポジションです。そこを経験した子は、野球の見え方が変わります。短期的には失点が増えるかもしれませんが、育成という面では悪い話ではないはずです。
見ている側が心がけたいこと
ひとつ、保護者の方にお願いしたいことがあります。
来シーズン以降、キャッチャーに入ったばかりの子が走られる場面は確実に増えます。そのとき、スタンドから「ちゃんと投げろ」という声が飛ぶと、その子はキャッチャーをやりたくなくなります。
盗塁されるのは、その子の努力不足ではありません。ルールが変わって、経験の浅い子がそこに立つことになった。それだけの話です。
新しいポジションに挑戦している子には、結果ではなく、そこに立ったことを認める言葉をかけてあげてください。数年後にチームを支えるキャッチャーが育つかどうかは、この時期にどんな声を浴びたかで決まると思っています。
バットの規制は「複合バット禁止」ではありません
ここからバットの話です。ここがいちばん誤解されています。
禁止されるのはウレタンやスポンジが付いたバット
全日本軟式野球連盟が定めているのは、「複合バットの禁止」ではありません。規制の対象は、打球部にウレタン、スポンジ等の素材の弾性体を取り付けたバットです。
いわゆる「よく飛ぶバット」と呼ばれてきたもので、打球面に弾力のある層を貼ることで反発を高めた構造のバットを指します。
出典:学童部のバットの使用制限について(通知)|全日本軟式野球連盟
複合バットは、これからも使えます
同じ通知に、使い続けられるバットもはっきり書かれています。
引き続き使用できるバット
木製バット/金属製バット/カーボン製バット/複合(金属・カーボン)バット
つまり、金属とカーボンを組み合わせた「複合バット」は規制の対象外です。禁止されるのは、あくまで打球部にウレタンやスポンジの弾性体が付いているものだけです。
なぜ「複合バット禁止」と言われるのか
ここは少しややこしいので、丁寧に説明します。
連盟の通知では、「複合(金属/カーボン)」バットは使用可能とはっきり書かれています。一方で、世の中では「複合バット」という言葉が、ウレタンなどの別素材を打球部に貼ったバットを指して使われることがあります。報道でも「大人用の複合型バット」という表現が見られます。
つまり、同じ「複合」という言葉が二通りの意味で使われているわけです。ここが「複合バットが禁止される」という話が広まった原因だと思われます。
言葉ではなく、構造で確認する
売り場やネットの情報で「複合」と書かれていても、それが金属とカーボンの組み合わせを指すのか、ウレタン層を貼ったものを指すのかは分かりません。確認すべきは「打球部にウレタンやスポンジの弾性体が使われているか」の一点です。メーカーの製品仕様に必ず書かれていますので、そこを見てください。
なぜ規制されるのか
理由は安全性の確保とされています。
打球部に弾力のある層を貼ると、反発が強くなり、打球が速くなります。少年野球では、ピッチャーと打者の距離が16メートルしかありません。投げ終わった直後の投手や、近い位置を守る内野手にとって、打球速度が上がることは直接の危険につながります。
投球数制限や変化球の禁止が投げる側を守る規則だとすれば、バットの規制は、打たれる側を守る規則だと言えます。
判断の基準は、素材ではなく構造
ここが分かりにくいところです。バットの名前や素材で決まるのではなく、外装の構造で決まります。
「カーボンだからダメ」でも「複合だからダメ」でもありません。打球部にウレタンやスポンジの層が取り付けられているかどうか。その一点です。
お手持ちのバットが対象かどうか分からないときは、メーカーの製品情報を確認するか、チームの指導者に見てもらうのが確実です。見た目だけで判断するのは難しい場合があります。
バット規制のスケジュール
規制は一度に来るのではなく、段階的に進みます。
2025年から(すでに始まっています)
学童部では、一般用(中学生〜大人用)のバットのうち、打球部にウレタン等の弾性体を取り付けたものの使用が禁止されています。これは2023年12月に通知され、2025年から適用されているものです。
この時点では、小学生用の軟式バットには制限がかかっていませんでした。
2029年から
2029年からは対象が広がり、学童部で使われる小学生用の軟式バットについても、ウレタン等の弾性体を取り付けたものが使用禁止になります。同時に、中学生を対象とする少年部でも同様の規制が入ります。
2026年から2028年は移行期間
2029年の規制に向けて、2026年から2028年シーズンは移行期間と位置づけられています。この間は、現在お持ちのバットをそのまま使えます。
| 時期 | 学童部(小学生) |
|---|---|
| 2025年〜 | 一般用のウレタンバットが使用禁止 |
| 2026〜2028年 | 移行期間(小学生用はそのまま使える) |
| 2029年〜 | 小学生用のウレタンバットも使用禁止 |
出典:2029年以降のバット使用制限について【別紙資料】(全日本軟式野球連盟・PDF)
すでに禁止された分は、現場でどうなったか
2025年からの一般用バットの禁止は、すでに1シーズンを経ています。実際に何が起きたのかは、これから2029年を迎えるうえで参考になります。
打てなくなったわけではない
禁止から半年ほどの時点での取材記事では、指揮官から「そこまで極端な変化は感じていない」という受け止めが紹介されています。芯でとらえれば飛ぶことに変わりはなく、得点力は保たれているという評価です。
「昔のスタイルに戻ってきた」という言い方もされていました。道具の性能に頼らず、打ち方で勝負するという意味です。
出典:飛ぶバット“全面禁止”から半年…学童野球への影響は? 性能頼りに変化も…関東強豪の対策(ファーストピッチ)
むしろ打撃指導が変わった
同じ記事では、強豪チームがとった対策も紹介されています。あえて金属バット中心で練習する期間を設けたという話が印象的でした。打ち損じても飛んでしまう道具を一度外し、基礎の技術に向き合わせる狙いです。
ほかにも、振る力を底上げする練習を増やしたり、試合の動画を見せて打席で狙う球をはっきりさせたりといった取り組みが挙げられていました。
規制が、指導の中身を見直すきっかけになっている。そういう面もあるということです。
保護者は今どう動けばいいか
ここまでを踏まえて、実際に何をすればいいのかを整理します。
今あるバットを慌てて処分する必要はありません
移行期間が3シーズン設けられています。今日買ったバットが来月使えなくなる、という状況ではありません。
そもそも、小学生の間に体は大きく変わります。バットは買い替えのタイミングが何度か来るものです。2029年までの間に自然と入れ替わるご家庭も多いはずです。
これから買うなら、確認するのは1点だけ
新しく購入する場合は、打球部にウレタンやスポンジの弾性体が使われていないかを確認してください。メーカーの製品ページや、スポーツ用品店の店員さんに聞けば分かります。
金属製やカーボン製、複合バットであれば問題ありません。「複合」という言葉に反応して避ける必要はない、ということです。
そもそも最初から買わなくて大丈夫です
多くのチームは共用のバットを何本か用意しています。長後ベアーズもそうです。入団してすぐにマイバットをそろえる必要はありませんし、体格に合うものを探してから買うほうが失敗がありません。規制の話も、あわてて動くより、買うときに確認すれば十分です。
お下がりや中古をもらうときは一度確認を
少年野球では、卒団する子のバットを下の学年が譲り受けることがよくあります。とてもありがたい習慣ですが、規制の対象になっているバットが紛れ込む可能性があります。
特に注意したいのが、一般用のバットです。学童部では2025年からすでに使えなくなっているため、それ以前に購入されたものが手元に残っているケースが考えられます。
もらう側も譲る側も気まずくならないよう、受け取る前にチームの指導者へ見てもらうのがいちばん角が立ちません。「今の規定で使えますか」と一言聞けば済む話です。
チームに確認しておくとよいこと
大会によっては、連盟の規定より厳しいローカルルールが設けられている場合があります。また、2027年の兼任禁止についても、地域の大会でいつから適用するかは運用に幅が出る可能性があります。
気になる場合は、チームの指導者に「うちが出る大会ではどうなりますか」と聞いてみてください。現場がいちばん正確な情報を持っています。
中学生の試合時間も短くなります
今回の変更は学童部だけではありません。中学生を対象とする少年部では、2027年から試合時間が2時間30分から2時間へ短縮されます。
こちらも理由は同じで、選手の健康面への配慮とされています。小学生のうちに始まった流れが、上のカテゴリーにも広がってきているということです。
中学で野球を続ける予定のお子さんをお持ちの方は、頭の片隅に置いておいてください。試合が30分短くなるということは、1試合あたりに投げる球数や、守備につく時間も変わってくるということです。夏場の大会では、体への負担がはっきり違ってくるはずです。
もうひとつの小さな変更
2026年からは、選手を呼び出すときのアナウンスが敬称略になりました。苗字のみで読み上げる形です。学童部と少年部の共通の変更で、こちらは安全とは別の、運営上の整理という位置づけになります。
2027年のルール改正に関するよくある質問(FAQ)
Q1. ピッチャーをやった子は、もう守備に就けないのですか。
A. 就けます。禁止されるのは、同じ試合の中で投手と捕手を入れ替わることだけです。投手を務めた選手が内野や外野の守備に就くことは問題ありません。また、一度ポジションを退いたあとに、元のポジション(投手なら投手)へ戻ることも認められています。
Q2. なぜキャッチャーの負担が問題になるのですか。
A. 二塁への送球で肘にかかる負荷が大きいためです。計測では、捕手の送球時の肘への負荷が投手のピッチングの2倍近いという結果が出ています。しゃがんだ姿勢から上半身中心で全力投球する動作になるため、負担が集中しやすいとされています。ピッチャーで球数を投げたあとにキャッチャーで送球を繰り返すことが、障害のリスクになると判断されました。
Q3. 複合バットは使えなくなるのですか。
A. 使えます。よく誤解されていますが、金属とカーボンを組み合わせた複合バットは規制の対象ではありません。禁止されるのは、打球部にウレタンやスポンジなどの弾性体を取り付けたバットです。木製・金属製・カーボン製・複合バットは引き続き使用できます。判断の基準は素材の名前ではなく、外装の構造です。
Q4. 今持っているバットは、いつまで使えますか。
A. 小学生用の軟式バットであれば、2026年から2028年シーズンは移行期間とされており、そのまま使えます。2029年から、ウレタン等の弾性体が付いたものが使用禁止になります。なお一般用(中学生〜大人用)のウレタンバットについては、学童部ではすでに2025年から使用できません。お持ちのバットが対象かどうかは、メーカーの製品情報やチームの指導者にご確認ください。
Q5. 部員が少ないチームは、兼任禁止にどう対応するのですか。
A. 現場からも「選手数を考えると現実的に厳しい」という声が出ており、課題として認識されています。対応としては、複数の選手にキャッチャーを経験させて起用の幅を広げていくことになります。地域の大会では段階的に適用する運用も検討されているため、実際にどうなるかはチームや大会ごとに確認が必要です。
Q6. ルールが変わったことは、どこで確認できますか。
A. 全日本軟式野球連盟の公式サイトで、連盟適用ルールや通知が公開されています。ただし、実際に出場する大会でどう運用されるかは大会要項に書かれていますので、そちらもあわせてご確認ください。チームからの配布物や指導者への確認がいちばん確実です。
まとめ:変わるのは、子どもを守るためです
2027年からの改正と、バット規制の現状を整理しました。
この記事の要点
2027年シーズンから、学童部では同じ試合で投手と捕手を兼任できなくなります。ただし他の守備位置に就くことや、元のポジションに戻ることは認められます。理由は、捕手の送球時の肘への負荷が投手の投球の2倍近いという計測結果です。バットについては「複合バット禁止」ではなく、打球部にウレタン等の弾性体を取り付けたバットが対象です。木製・金属製・カーボン製・複合バットは引き続き使えます。小学生用バットへの規制は2029年からで、それまでは移行期間です。
こうして並べると、やはり方向はひとつです。勝つことより先に、子どもが体を壊さずに野球を続けられること。ルールはそちらへ動いています。
現場に立つ側として、正直に言えば、悩ましい部分もあります。人数の少ないチームにとって兼任禁止は簡単な話ではありません。それでも、数年後にひじを痛めて投げられなくなる子を一人でも減らせるなら、受け入れるべき変更だと考えています。
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長後ベアーズでは、見学と体験練習を随時受け付けています。ルールが分からなくても心配はいりません。私たちも、毎年のように覚え直しています。
板橋区・志村第六小学校で活動しています。見学だけのご参加も歓迎です。
